野家啓一
西田幾多郎や田辺元ら京都学派の哲学者たちにとって、歴史が重要な問題であったことは今更言うまでもあるまい。下村寅太郎や高坂正顕に至っては生涯を貫く問題であった。ところで、彼らが歴史をどう理解していたかという問題から進み、彼らが展開した歴史哲…
今回取り上げる野家啓一氏の論文「歴史の中の身体 ―西田哲学と現象学―」は雑誌『現代思想』の1993年1月号で発表された後、『没後五十年記念論文集 西田哲学』(岩波書店、1994年)に収録された。今回参照したのは後者のバージョンである。 第1節:行為と身体…