映画『アナベル 死霊博物館』感想 - 狭すぎた「博物館」

アナベル 死霊博物館』を鑑賞したので、同作を鑑賞中に考えたことをここにメモしておきたい。

あらすじ

 心霊研究家のウォーレン夫妻は数々の災厄をもたらしたアナベル人形を引き取ることにした。自宅へと向かう道中、人形の悪しき力のせいで酷い目に遭わされたが、何とか自宅のコレクションルームに人形を封印することができた。


 それから1年後、ウォーレン夫妻をペテン師呼ばわりする新聞記事が原因で、夫妻の娘であるジュディは学校でいじめられていた。ジュディは母親の能力を受け継いでいるようで、霊的な何かを目撃することがしばしばあった。陰鬱になるジュディを励ましてくれるのは両親とベビーシッターのメアリー・エレンであった。
 そんなある日、夫妻は遠出をすることになり、メアリー・エレンにジュディを預けた。買い出しの最中、メアリー・エレンは友人のダニエラに出くわした。ダニエラはウォーレン夫妻の家に並々ならぬ関心を示し、そのまま家までついてきた。
 ダニエラがウォーレン夫妻に関心を持っていたのは、単なるゴシップ趣味からではなく、亡くなった父親と交信したいという思いからであった。父親は自動車事故で亡くなったが、そのとき車を運転していたのはダニエラであった。それ以来、ダニエラは「父親は自分を責めているのではないか」と思い悩んでいたのである。
 ダニエラは死者と交信する手段を求めて「絶対に入るな」と言われたコレクションルームに足を踏み入れた。ダニエラはコレクションの全てに手を触れた上に、アナベル人形の封印を解いてしまった。それが原因で、ジュディ、メアリー・エレン、ダニエラ、ボブ(ウォーレン夫妻の家の隣に住む男子学生。メアリー・エレンと両思い)の4人は心霊現象に巻き込まれるのだった。

感想

 『アナベル 死霊博物館』に目新しい点は一切ない。観客の脅かし方はジャンプスケアと叫び声の2パターンしかなく、何とも単調である。出てくる怪物も呪われたドレス、呪われたゲーム、鎧甲、アナベル人形、地獄の犬などであり、どこかで見聞きしたことのあるものばかりである。また、「留守番中に襲われる子供」や「騒ぎの最中に訪ねてきた人が運悪く巻き込まれる」という展開はホラー映画お馴染みのものである。さらに言えば、死霊館シリーズの魅力は人間ドラマにあるとされているが、本作で展開されるドラマは実に平凡なものである。特に捻りがあるわけではない。
 だからと言って、本作は駄作ではない。100点満点で言えば70点台には到達している作品である。型にはまった設定・展開ばかりではあるが、型をきっちりと作り上げている。型を破らずとも、型を入念に作り上げれば、70点台の作品には到達できるのである。型にハマることすら失敗している映画が少なからずあることを思えば、本作はかなり楽しめる部類の映画である。型にはまっているが故に、癖がない作品に仕上がっているので、万人が楽しめる作品である(型破りな作品の中には、癖が強すぎて人を選ぶ作品が少なくない。『ヘレディタリー/継承』がその例として挙げられる)。

 

 聞くところによると、製作陣は本作を『ナイト・ミュージアム』のような作品にしたかったらしいが、それならもっと広い場所で心霊現象を発生させるべきだったと思う。複数の霊体が1箇所で暴れるには、ウォーレン夫妻の家は狭すぎるのである。現に、複数の霊体がジュディたちに一気に襲いかかったシーンは1つもなかったはずである。

 

 死霊館シリーズは登場した霊体を題材にしたスピンオフ映画を作ることでも知られているが、是非とも神父の霊を題材にしたスピンオフを作って欲しいものである。神父の彫像がジュディの通う学校に設置されていたことを思うに、神父はジュディだけではなく、あの学校に通う全ての子供たちを守護しているはずである。もしそうであれば、霊体がジュディ以外の子供に襲いかかったとき、あの神父は必ずその子供を守ろうとするだろう。それを1本の映画にして描き出して欲しいのである。