映画感想:『オハナ』(2021年)

 久しぶりに映画を見たのだが、その映画の出来が良かったので、ここに感想をまとめることにした。その映画とはNetflixで配信されている『オハナ』(原題:Finding 'Ohana)である。子供向けの映画として製作されたようだが、大人でも楽しめる出来に仕上がっているので、関心のある方は視聴されたし。

あらすじ

祖父(キモ)が病に倒れたという一報を受け、ピリとイオアネは母親(レリアニ)に連れられてハワイのオアフ島へと急行した。幸いにも、キモの病状自体は大したことないものであったが、税金を滞納するほど経済的に困窮していた。キモを思うレリアニは一家でオアフ島に移住する決意を固めた。しかし、それは都会育ちのイオアネの容れるところではなく、2人は口論になってしまった。
 一家の苦境を知ったピリはある行動に打って出た。島に到着してすぐ、ピリは財宝の隠し場所を記した日記帳を発見し、以来それを解読するのに夢中になっていた。「その財宝さえあれば、お祖父ちゃんも土地を手放さずに済む」。そう考えたピリは新しい友達、キャスパーと一緒に宝探しの冒険に出発した。ほどなくして、イオアネはピリの外出を知って仰天した。地理に不案内であったため、イオアネは知り合ったばかりのハナに助けをもとめた。そして、洞窟に潜入した2人に追いついたが、地上に戻るための手段を失ってしまった。
  イオアネが途方に暮れる一方、ピリは「日記帳によると、宝がある場所は地上と繋がっているから、そこに行けば良い」と意気盛んだった。イオアネは宝の実在を疑っていたが、ピリを信じるより外に道はなかった。こうして、4人は洞窟の奥深くへと進んでいくが...。

雑多な感想

ピリ→よく言えば勇敢、悪くいえば向こう見ずな冒険家
イオアネ(主人公の兄)→生粋の都会っ子でスネ夫的な側面もあるが、何やかんや言っても家族思い。やるべきときはやる。
キャスパー→オタク(ナード)気質
ハナ→人一倍気が強そうに見えるが、弱い面もある。
キモ→一見すると偏屈なお爺さんだが、家族や故郷を心から愛している。ただ不器用なだけ。

 『オハナ』はハワイを舞台にしているという一点を除き、全てが冒険映画の型にはまっている作品である。親子の葛藤、都会と田舎の葛藤のような人間ドラマの要素だけではなく、今にも崩れ落ちそうな吊り橋、蜘蛛の群れ、骸骨のような冒険の要素も型通りのものである。登場人物も個性的ではあるが、上の記述を見れば分かるように、その個性はやはり型にハマっている。はっきり言って、映画をある程度見慣れた人であれば、新鮮味を感じる要素はどこにもない。
 それにも拘らず、『オハナ』は老若男女問わず楽しめる作品に仕上がっている。それは一つ一つの型の完成度が高いからである。全ての要素を型通りにキチッと仕上げるのはハリウッドですら難しいようで、大抵の作品は粗―「演技がオーバーに過ぎる」とか「場面転換が急すぎる」など―が散見される結果に終わってしまう。しかし『オハナ』にはそうした粗がほとんどない。もしあるとすれば、時折挿入される海賊のシーンだろうが、この程度はご愛敬であろう。

 あと「ハワイの島を舞台にしているにも拘らず、主要登場人物が白人ばかり」という失敗をしていないのも特筆すべきことのように思えるが、表象の問題について私は門外漢であるため、これ以上は触れない。

 また、主人公4人の若さ溢れるパフォーマンスも魅力だが、大人たちも絶妙な存在感を見せている。目立ちすぎずかといって影が薄いということもない。レリアニが故郷を離れていた11年間に何があったのかは詳しく語られないが、大人たちは所作や風貌でそれをさりげなく示しているように思う。例えば、白髪交じりのレリアニを見れば「夫の死後、子供たちを女手一つで育て上げるのに苦労したのだろうな」ということはすぐに分かる。これをくどくど説明しなかったのは良い。

 ハワイという舞台設定を人間ドラマだけではなく、冒険の方にも活かせたなら、またとない個性的な作品に仕上がっただろうが、最初から最後まで楽しめたのだからそこまで言うのは贅沢か。